アルパインガイドとは?
『ガイド登山』というのは、ヨーロッパアルプス等では 登山の在り方として、それが当然であるかのごとく、ひとつの分野を形成しています。 そんな、『アルパインガイド』による登山を 日本の山の故郷 信州で普及させたいと願い八ヶ岳、原村の自宅事務所をベースに25年間に及び山岳ガイドを続けています。
ガイド付きの旅行業公募ツアーやガイド資格者の登山スクール 登山技術講習会と言った企画営業型の登山への参加に比べると、特定の山に登山を志した登山者が自分の企画で、『山岳ガイド』をパートナーとして、登山するという『プライベートガイド』は、とても門戸の狭い世界なのかな と、いまさらながらに思います。
より深く登山の世界に浸り、追及する中で 個人の理想の主張だけでは成立しない、ロープを使う登山や冬山のようなパートナーを必要とする登山の世界が、日本の登山史では 地域社会や同好の仲間による山岳会や学生登山を発達させてきた事情は、当然のごとくに合理的です。
僕もそういう中で登山を覚えた訳ですが、それまでの山仲間の休暇とは全然違う山小屋に就職したり 山岳ガイドという仕事で自分以外の誰かの為の登山をお手伝いする立場から見て、それが大人の登山事情に適合しない という実感、ここに僕がガイド業を続けてきた理由があるのではないか、と思います。
登山が非日常的レクリエーションの世界であれば、自然の中での活動が本当に自分が必要とするものなのに、そこにかける時間を十分に利用できないことは世の常ですし、仕事や地域での社会的立場でのプレッシャーや 家庭や周囲の理解を得ることも難しく、そんな自然の中にあるべき自分の姿から遠ざかってしまうことも多々ある と思います。 『ガイド登山』であることによって、登山の冒険的な本質は変わりませんが、超えるべき壁にある手がかり足がかりであることは確かです。
僕が十代の後半から暮らし育ったこの山で山岳ガイドをはじめてから 多くのお客様と共に登ったこの山々に染み付いた汗と思い出は ガイド活動の中で積み上げてきた僕の宝であり、これからもより多くの皆様の登山の最良のパートナーでありたいと願っています。
公益社団法人日本山岳ガイド協会
山岳ガイドステージⅡ